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12.13
Fri

考える脳・考えない脳―心と知識の哲学 (講談社現代新書)考える脳・考えない脳―心と知識の哲学 (講談社現代新書)
(2000/10)
信原 幸弘



哲学者による「心脳問題」の入門書。そんな本のつもりで気軽に読み始めた。
しかし、後に書くように、単なる入門書ではなかった。

ピアノの楽曲に対応する鍵盤の動きがあるように、心のはたらきに対応する脳の活動があるはずだと考えるのが、「表象主義」とよばれる考え方。その表象主義は、大きく「古典的計算主義」と「コネクショニズム」に分けられる。本書では、両者の立場を解説したうえで、脳と心の関係を説明する理論としては「コネクショニズム」の方にどうやら軍配が上がりそうだ、という。脳の部位ごとの違いに言及していないなど,神経科学的にみると単純化されている点はあるかもしれないが、分かりやすい解説だと思った。

ところが最終章では、これまで用意した「古典的計算主義」と「コネクショニズム」を組み合わせた、独自の説を展開。

著者の立場によれば、脳それ自体はコネクショニズム的な表象しかもたない。しかし、心自体は論理や計算を使いこなせることからもわかるとおり、「計算主義」の方がよく当てはありそうな場面も多い。そこで、計算主義的な思考は脳の中だけにあるものではなく脳+身体+環境の複合システムが担っていると考えてはどうか?つまり、私の脳は,それ自体では,膨大なニューラルネット(ただし,再帰的な)に過ぎない.そこでは、ある入力がどのような出力(あるいは内部状態の変遷)をもたらすかを決める、シナプスの重みが決まっているに過ぎない.しかし、人に話しかけたり、紙に書きつけたり、身体と外界の助けを得ることで、論理的思考が実現されているというのだ。

だから、ある意味で、「脳は考えていない」。

これは、『現れる存在』でAndy Clarkが述べていた考え方に近いのだと思うが、本書の方が論点が少ないぶん分かりやすく思った。「論理的な思考は,脳の中にはない」というのは、大きな発想の転換だ。この考え方は、もし妥当ならば、当然ながら人工知能研究にとって重大な意味をもつ。けれど、「どうすれば仕事がうまくいくか」などという自己啓発的な意味でも、重要な知恵になりうるような気がする。

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